どの俳優スクールを選べば良いのか?各俳優スクールの特性を比較してみる
希望や環境も大事ですが、お金の問題も選択肢の重要な決め手となる要素でしょう。ここでは都内を中心に、発表されている金額のできるだけ平均を出してお知らせしたいと思います。養成所と専門学校との金額にはかなりの開きがありますが、レッスン時間にも大分違いがありますので、そこら辺も見落とす事のない様に検討して頂ければと考えます。加えて、無理のない選択をする事も大切だと思います。
劇団系、芸能プロ系、専門学校のそれぞれの特性と違い
劇団系、芸能プロ系の養成所と呼ばれる俳優スクールと専門学校のどこへ入学するかを迷う人は数多いと思いますが、一つの選択法として「映像俳優」になりたいか「舞台俳優」になりたいかで、まず大別すると良いと聞きます。ですが最近は舞台俳優出身の人々がテレビドラマで大活躍をしていたり、その逆にテレビで有名な人気女優が舞台でアメリカ公演を大成功させたりと、垣根を越えて活動しているので見ていて良く分からない所もありますね。
そうした事を考え合わせると迷っている段階の人達は、初歩的に「あの俳優・女優が好き」「ああいうドラマ或いはCMに主演してみたい」から始めてみたら良いのではないかとも考えます。例えば、好きな俳優が劇団出身で演技に定評がある人なら、その劇団のオーディションか劇団の養成所を目指してみるというような事です。
では、その劇団系・芸能プロ系養成所と専門学校とではどのような違いがあるのでしょうか?大きな違いは「そこに集まる人達の雰囲気であったり空気感が違う」と言います。雰囲気や空気感というのは、その集団の目標であったり決意であったりの違いからかもし出される事が多々ありますので、そういった事も含めて細かく比較してみたいと思います。
まず劇団系・芸能プロ系の養成所の雰囲気ですが「本気でプロを目指す」という人が割合的に多く、仕事として考えて行く意識の高い集団と言えます。中にはプロダクションを兼ねている大手の養成所もあり、そういった所では入所した時点で所属タレントとして扱われるという事なので、経験があればレッスン生でありながら仕事が振られる可能性もあると言います。一人がそうなれば、他の者の熱気も高まるので一様に職業意識が強くなる事は必至です。
また養成所の上に劇団や芸能プロがある為、レッスン期間中においても認められれば所属になれるチャンスもあり、レッスン期間でもオーディションの情報が多く入って来る可能性もあると言います。
クラス分けについては12才以上は大人として分けられる事が多いので、年齢幅が広く、若い人もその中で切磋琢磨して行く環境となる様です。レッスン時間が短く拘束時間も少ない為、仕事や学業との両立も可能な反面、自分で努力して行かないと周りとの差も広がってしまう厳しい一面もあります。レッスンは週に2回から4回程度で、レッスン内容は即戦力を目指す実践的なものが多いという事です。
ただし有名な養成所だと、入所の倍率が高く狭き門になる事もしばしばだと聞きますので、事前の調査や取り組みが必要となるでしょう。
次に専門学校ですが、本気でプロを目指すというよりは「進路の一つ」として選択する人の割合が多い様なので、年代的にもほとんどが同年代です。まだビジョンがハッキリしていない学生も多く、空気的には「これを職業として行く」という張り詰めたものよりは割合とのんびりした雰囲気だと言います。
定員数が多いので比較的に入学しやすく、日々長時間のレッスンを受けられる為、総合的知識を基礎から学ぶ事ができるのが利点です。また、学歴になるので履歴書などに記載できるのも利点の一つかもしれません。ただし、のんびりとした雰囲気に流されてしまうと、2年間はあっと言う間に過ぎてしまい結局は何もしないまま卒業という事にもなり兼ねませんので、自分を見失わない様に、周りに流されない様にと常に自分を律し、早めに目標を確立しなければならないと言います。
ただ、大学より実践的な分野もあり、幅広い分野の窓口があるので選択肢が豊富な上、分野を絞って学ぶ事もできます。また学校によりレベルが違うので、自分のレベルに合わせて選ぶ事ができ受験の失敗も少なくて済む様です。更に、学校によっては芸能事務所を呼んでのオーディションが行われる時があり、在学中にチャンスを掴める事もあるそうです。
授業料金に違いはあるのか
全体的に養成所より専門学校の方が費用は掛かりますが、その分レッスン時間は長くなります。それを踏まえて一例として参考にして下さい。
養成所は入る時の「入所金」として160,000円~200,000円程度であり、「レッスン料(授業料)」が20,000円前後です。もちろん養成所によって金額の差はありますが、発表している所では大差はないと思います。他に教科書代や養成所内のオーディション参加代として別途かかる場合もあります。
対して専門学校は「入学金」として200,000円~300,000円程度であり、他「授業料、設備費、教科書代」込みで1年次の総額が1,000,000円~1,500,000円程です。細かく各項目で金額を提示している学校は少なく、大体が1年次の総額表示となっています。なお、詳細提示している学校によれば2年制で1年次が1,415,690円であり、2年次は1,230,000円になっていました。上記金額は全て2年制の場合の金額です。
ただし、支払いは一括のみではなく分割ができる学校が多く、更に奨学金制度や母子家庭制度など救済金の活用もできるようになっています。面白いのは、兄弟制度のような仕組みで、兄や姉が在校または卒業生なら入学金が安くなるというのもあります。
養成所は月2~4回位のレッスンで授業料が20,000円前後、専門学校は週5日のレッスンで授業料が300,000円~400,000円位です。どちらが自分の希望や環境に適しているか費用面も含め、考え合わせて決める様にして下さい。
自分の目標を達成できる環境のスクールを選ぶ
目標を達成するには、当然ですが目標を持たなくてはなりません。まず、自分が何をしたいのかを決定できない内に達成はあり得ません。
厳しい様ですが、もし目標を迷っているなら養成所へ行っても成功はないと言います。例え倍率の高い有名な養成所へ入れても、入った全ての人が食べて行ける俳優になれるとは限らない世界です。むしろ何年も何十年も下積みで終わる人、諦める人が大勢いるというのが現実の事。
まだ若くて経験も少なく先の事を決め兼ねている、という人は進む道の一つとして専門学校という環境に身を置いてみても良いのではないかと考えます。専門学校の講師をしていた人も、学校に入ってから意志を固めた例があるし、卒業後に一念発起して俳優を目指した例もあると言っています。実際にキャッツで有名な劇団に出演した卒業生もいるのです。また、違う道へ進んだとしても、学校での経験は決して無駄になるものではありません。道は一つではないので、急がずに経験値を増やす事に時間を費やしたとしても、先への投資となる人生のわずかな時間に過ぎないでしょう。
それとは逆に確たる目標を持って、できるだけ早くに達成したいと考える人は専門学校より養成所が向いていると思います。厳しくても、業界とつながりを持てる或いは劇団や芸能プロに所属できるチャンスが多い養成所は、近場に目標が見える分、より一層に闘志を燃やせる環境だと言えるでしょう。
昨今はどちらのスクールも選択肢が多く、例えば舞台俳優にしてもミュージカル専門の養成所があったり、ダンス専門の専門学校があったりでより早く専門的な技術やプロへの道を模索しやすくなっている様です。しかもスクールによっては途中で目標を変える事も可能だと言います。
誰もが同じ熱量の同じ意志をいだいている訳ではないので、自分の目標を自分のペースで達成できる環境を選んで欲しいと思います。
まとめ
養成所の経験者達からよく聞くのが「あからさまに事務所運営の資金集めを目的とした養成所には注意が必要」ということです。実際にそういう所も少なからずある様ですから、あまり結論を急がず、じっくりと見極める事も大切です。
また、専門学校で「安い」と思ったら1年制だったという事もあります。こちらもパンフレットを必ず取り寄せて、しっかりと検討する事をお勧めしたいと思います。
将来の糧となる、大事な経験を積む船出です。最初からつまづいたのでは出鼻をくじかれたでは済まない痛手になってしまいます。慎重に事前チェックをしてから選択する様にして頂けたらと思います。